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かずくん日記

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子との生活や介護の記録をつづっていこうと思います。

読書メモ - SMA発症後のSMN修復に関する論文

気になる論文を見つけたので、健康診断の待ち時間を使って読んでみました。

JCI - Postsymptomatic restoration of SMN rescues the disease phenotype in a mouse model of severe spinal muscular atrophy

SMAを発現し、かつ誕生後の任意のタイミングでSMN遺伝子の機能を復活させることができるマウスを使って、SMNタンパク質の量を増やすタイミングが症状にどう影響するかを見るという実験です。

誕生から4、6、8、10日後にそれぞれSMN遺伝子の機能を復活させたところ、4日後と6日後からのマウスはよく症状が改善した(体重が増えた=筋肉量が増加した)のに対して、8、10日後からのマウスは改善はあったけれども限定的だったようです。

実験の結果としては、発症後の治療でも十分効果がある、ただし大きな効果が期待できるのは一定のタイミングまでで、そこから先は効果はあるけれども限定的になるとのこと。だいたい8、10日後からは限定的な効果ということになるみたいです。ちなみに実験で使われたマウスの平均寿命は17日ということなので、8、10日後というのは率直に言って、あまり期待を膨らませる数字ではないなあと思いました。論文の中でも、運動ニューロン(と症状に寄与する他の細胞)は、新生児の後半まで不可逆的にダメージを受けることはないようだ、と言っており、あくまでもそれくらいのタイムスケールの話のようです。なお、実験で使ったマウスはⅠ型に相当する症状のようなので、Ⅱ型相当・Ⅲ型相当となると、また話は別なんだと思います。

論文の執筆者達は、SMNタンパク質は神経発達(neurodevelopmental)プロセス上の重要な要素というよりは、どちらかというと運動ニューロンの維持に関係しているのでは、と推測しています。実験結果の内容も踏まえると、つまりこれは、運動ニューロンがまだ残っていれば改善の見込みがあるけど、完全に脱落しているとあまり効果は見込めないということなのかなぁ?と個人的に思いました。ただ、マウスの場合は人工呼吸器をつけて命をつなぐわけではないので、そういった本当に長期間生存している状態で、長期間SMNタンパク質の量を増やすことができた時にどうなるのかは、まだ未知の領域なのかもしれません。まあ、いずれにせよ過度の期待は禁物ですね。