読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

かずくん日記

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子との生活や介護の記録をつづっていこうと思います。

Spinal Muscular Atrophy - Disease Mechanisms and Therapy: Chapter 5

今回は Chapter 5: Transcriptional and Splicing Regulation of Spinal Muscular Atrophy Genes です。日本語にすると、「SMAに関連する遺伝子の転写とスプライシングの制御」でしょうか。この章は、まるまるSMN遺伝子とSMNタンパク質の生成過程に関する説明に充てられています。

/* この章の内容は私には専門的すぎて、きちんと理解できている自身がイマイチありません。これより先をお読みいただく際は、内容に誤りが含まれている可能性があることをご留意ください。*/


補足
DNAからタンパク質が合成される際にはいろいろなステップを踏むようですが、SMN遺伝子関連を理解するにあたっては、転写・スプライシング・翻訳だけ理解しておけばとりあえずは大丈夫そうです。これら3つの過程は、下図に示すような順番で行われます。

f:id:oganoken:20170110005708j:plain

まず、DNAから転写によってpre-mRNAが合成されます。続いてスプライシングによってpre-mRNAが切り詰められてmRNA(messengerRNA)ができます。そして、このmRNAをもとにタンパク質が翻訳(合成)されます。スプライシングの際にmRNAに残る部分をエクソンと呼び、残らない部分をイントロンと呼びます。



SMN遺伝子は下図のように9つのエクソン(1, 2a, 2b, 3, 4, 5, 6, 7, 8)と8つのイントロン(1, 2a, 2b, 3, 4, 5, 6, 7)から構成されているそうです。
f:id:oganoken:20170110110926j:plain
SMN1遺伝子とSMN2遺伝子の違いは、わずか5個のヌクレオチド(DNAやRNAを構成する単位)のみとのこと。SMN1遺伝子は28,075個の塩基対で構成されているらしく、そのうちのたったの5個の違い、ということになるようです。

SMN2遺伝子の場合、スプライシングによってエクソン7が欠落したmRNAができ、それによって不完全なタンパク質ができるそうです。エクソン7の欠落の理由はすでに特定できていて、SMN1遺伝子とSMN2遺伝子の5つの違いのうち、エクソン7にあるC6Uという違いが原因になっているそうです。ではなぜC6Uによって欠落が起きるかと言うと、この違いによってSMN2遺伝子のほうにはhnRNP A1と呼ばれるESS(Exonic Splicing Silencer:エクソン上にあってスプライシングを抑制する要素)ができ、それによってエクソン7の欠落が発生するというのが現時点での一番有力な説明なんだそうです(C6Uによってなぜ欠落が起きるかについては、他にもいくつか説があるそうです)。

エクソンおよびイントロン内には、スプライシングを抑制したり促進したりする機能を持つ部分があるそうです。先ほどのhnRNP A1はエクソン上にあってスプライシングを抑制するESS(Exonic Splicing Silencer)でしたね。ESS以外にも、たとえばイントロン上にあってスプライシングを抑制する部分をISS(Intronic Splicing Silencer)と呼び、イントロン6および7にもISSがいくつかあるそうです。このESSもしくはISSの働きを抑制すると、スプライシングは逆に促進されることになるので、エクソン7を含んだmRNAの生成が増えることになるようです。そのため、ESS/ISSの働きを止める物質を探すことが、創薬の一つの方針になります。ESS/ISSのうち、イントロン7にあるISS-N1というのが特に注目されていたらしく、SPINRAZA(nusinersen)はこのISS-N1をターゲットにしたASO(アンチセンスオリゴヌクレオチド)とのことです。

スプライシングはlysine acyltransferas(原文ママ。誤字かも?)やヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase:HDAC)による影響も受け、それぞれスプライシングの活性化と抑制に関連するそうです。HDACはスプラインシングを抑制するので、逆にHDACそのもの抑制する物質(HDAC inhibitor)には全長SMN mRNAと全長SMAタンパク質の量を増やす効果があるそうです。日本でも現在治験を行っているバルプロ酸は、これに該当するそうで、転写量(全長およびΔ7(エクソン7欠損)含め)を増やすと共に、全長転写の比率を増加させる効果があるそうです。ちなみにこの章では、バルプロ酸みたいな物質のことをsmall compoundsと呼んでいます。これは日本語にすると低分子化合物といった意味になるのでしょうか。

この章は他にもいろいろ情報がありましたが、私にはちょい難しすぎでした。この10年くらいの進展を見ると、転写とスプライシングの理解が進み、いろいろなシークエンス構造モチーフをターゲットにしたASOが、スプラインシングにおけるエクソン7のスキップを修正する働きがあることを証明したそうです。スピンラザの承認は、こういった研究者の方々の何年にもおよぶ積み重ねがあってのことだったんですね。

しかし、内容がかなり難しくなってきてて、そろそろ読破できる自信がなくなってきたな・・・。