読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

かずくん日記

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子との生活や介護の記録をつづっていこうと思います。

USでのスピンラザ(ヌシネルセン)承認の追加情報 その3

新薬開発 スピンラザ

www.spinraza.com等で公開されているPrescribing Informationは、日本でいうところの添付文書に該当するっぽく、いろいろな情報が載っています。今回はこのPrescribing Informationから読み取れる情報をいくつかピックアップしてみます。

/* 以下の文章は、素人が辞書を片手に読みといた内容をもとに記載しています。お読みいただく際は、多分に誤りが含まれている可能性があることをご留意ください。*/

投薬

最初の3回を14日ごと、4回目は30日後に行い、それ以降は4ヶ月に一回行うそうです。投薬は髄腔内注射で行い、一回の投薬で12mg(5ml)の薬剤を投与するそうです。注入の前に、5mlの髄液を抜くとのこと。5ml抜いて、5ml入れるということですね。

副作用

副作用(adverse reactions)としては、まずアンチセンス核酸の投与でよくある症状として、血小板減少症(Thrombocytopenia)および凝固異常(Coagulation Abnormalities)、腎毒性(Renal Toxicity)があがっています。これらは、ヌシネルセンの治験でも報告が上がっているようです。

それ以外の副作用としては、次の事象がプラセボ群に比較して多く出ているとのことでした。

  • 下気道感染症(Lower respiratory infection)
  • 上気道感染症(Upper respiratory infection)
  • 便秘(Constipation)
  • 歯が生える(Teething)(これって有害なの??)
  • 上気道うっ血(Upper respiratory tract congestion)
  • 誤嚥(Aspiration)
  • 耳感染(Ear infection)
  • 脊柱側弯(Scoliosis)

便秘以外は、生存率が改善したことにより発症頻度が上がっているのでは?とも思えますが、どうなんでしょう。

上記以外にも、プラセボ群を置いた本試験とは別に実施したopen-label studyでは、低ナトリウム症が1例、発疹が数例、頭痛、背中の痛み、post lumbar puncture syndrome(腰椎穿刺後頭痛かな?)が報告されているようです。

免疫原性

126人の患者で免疫原性の反応を検査したところ、5人で抗薬物抗体が確認され、うち3人は一時的なもの、2人は継続的なものと見られるとのこと。ただし、十分なデータが得られていないみたいで、あまり断定的なことは言えないようです。
(免疫原性の意味については、こちらが参考になります。簡単に説明すると、体内に入った薬が異物として認識され抗体が産生されることを指すようです。こういう話って遺伝子治療だけの話かと思っていたのですが、アンチセンス核酸医薬品でも起きるんですね。うーむ。)

臨床研究

治験の結果にも言及がありました。乳児を対象にした二重盲検試験とのことなので、たぶんendearの結果だと思います。投与後の変化を Hammersmith Infant Neurologic Exam(HINE)というので計測し、次のいずれかを満たせばマイルストーンに到達したとみなしたとのこと。

  • abilitiy to kick(キック)のカテゴリーで2つ以上のスコアアップ
  • head control(頭部のコントロール)、rolling(寝返り?)、sitting(座る)、crawling(はいはい?)、standing(たつ)、walking(歩く)のいずれかのカテゴリーで1つ以上のスコアアップ

これらに加えて、改善したカテゴリー数が悪化したカテゴリー数を上回ったこともマイルストーン到達の条件だそうです。
HINEについては、ネット上になかなか情報がありませんが(書籍として出版されているみたいで、ネット上にあまり情報が出回ってないみたいです)、こちらの資料のP.20に載っているのをみつけました。それによると、たとえば足を動かせなかったのが、重力に抵抗して上に動かせるようになるとability to kickのカテゴリーで2スコアアップ、頭が動かせなかったのが、ゆらゆら動かせるようになるとhead controlで1スコアップといった感じのようです。
で、治験の結果としては、スピンラザを投与した52名のうち、21名(40%)でマイルストーン到達が見られたとのこと。プラセボ群では0%の到達です。Prescribing Information上には、スコアの変化量を示すグラフが載っていて(Figure 1)、それを見ると0〜4スコア改善した人が比較的多くいるように見えます。60%の人はマイルストーンに到達してないわけですから、その辺も含めて期待値を持っていればよいのかなと思います。

さて、Prescribing Informationで興味をひいた情報はこれで以上です。今回、USでは9月26日の申請から数えると3ヶ月(10月28日の申請受理から数えると2ヶ月)という爆速の承認でした。これは、FDAが治験の段階から積極的に関わっていたからだと思います。おそらく、EUでは規制当局は治験段階から関わっていないと思うので、EUでの承認スピードが日本での承認スピードの参考になるのでないかと思います(完全に個人的な推測です)。EUの申請は10月に行われています。2017年の早いタイミングでEUからも良いニュースが届くといいですね。