かずくん日記

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子との生活や介護の記録をつづっていこうと思います。

RG7916のCommunity Update

SMA Europeに、RG7916のアップデートが出ていました。

2型・3型を対象としたSUNFISH治験に、51人の方が参加して、最大で2.5倍のSMNタンパク質の増加が見られたそうです。ただ、運動機能の改善が見られたかどうかについては言及がありませんでした。

www.sma-europe.eu

最近の新薬開発状況

仕事に復帰してから新薬の開発状況をあまり追っていませんでしたが、最近いくつが動きがあったみたいなので、まとめてアップデートしておきます。

AveXis AVXS-101

遺伝子治療の候補薬AVXS-101は以前から治験を行っていたと思いますが、今回あらたにSTR1VEという名前の治験をスタートするようです。「Good Manufacturing Practice (GMP) commercial manufacturing process」(実際に発売する時と同じプロセスということかな?)で作られた薬を使い、生後6ヶ月以内の1型の患児を対象に米国で行うそうです。
引き続き、日本での治験の話はまだ出てないみたいです。
AVXS-101は静脈注射ですね。

Roche RG7916

2型/3型を対象に行っていたSUNFISH治験において、パート1が終了し、これからパート2に進むそうです。パート1では、いろいろな投薬条件を試して、その中でパート2で使用する条件を決定したそうです。パート2では、決定した投薬条件をもとに安全性と有効性を検証するとのこと。
まずはEU内でスタートし、米国を含めた他の国も続いてスタートするとのことですが、日本も含まれるかどうかは不明です。
RG7916はたしか、スピンラザと同じようにSMN2遺伝子のスプライシングに働く薬だったと思います。ただし、スピンラザはASOドラッグなのに対して、こちらは低分子(small molecules)薬というものに分類されるようです。RG7916は経口薬です。

Novartis LMI070

以前治験を実施しようとしていたところ、動物実験で神経損傷が見られたため一旦中止していたのを再開するそうです。神経損傷については、専門家との協力によって理解が進んだとのことなので、解決の目処が立ったのかもしれませんね。
経口薬のようです。こちらも、スピンラザと同じように、SMN2遺伝子のスプライシングに作用するようです。

US Biogenのプレスリリース

ちょっと前ですが、US BiogenからSPINRAZA関連のプレスリリースが出てました。

media.biogen.com

Cure SMAのAnnual Conferenceにて、これまでの治験の結果を発表するという内容で、あまり細かい情報はないのですが、気になる話が2点ありました。

  • 永続的な呼吸管理の状態にある子でも運動機能に改善が見られたそうです
  • 側彎のある子についても、有害事象リスクの増加は特に見られなかったそうです

1つめの呼吸器云々については、もともと治験は一定時間以上呼吸管理していない子が対象になっていたはずですので、永続的に呼吸管理している子でもしっかり効果がでると言及されたのは、とても意義のあることだと思います。

2つめについては、具体的なことはわかりませんでしたが、脊髄注射にともなう有害事象(副作用)は側彎のあるなしに関わらず同様だったといったことが書かれていました。

SPINRAZA関連の発表資料はたまにCure SMA上で公開されることがあるので、詳細な情報が出てきたら、また紹介しようと思います。

スピンラザ承認

家族会に参加されている方はご存知かと思いますが、ついに承認されましたね!

www.nikkei.com

申請から7ヶ月での承認、優先審査品目の平均は9ヶ月とのことなので、ほんとに早いと思います。
まずは1型を先に承認して、8月中に薬価収載、その後2,3型もほどなく承認が出るみたいですね。

大きな病院だと、保険適用後も、病院内で薬を採用するかどうかの審査があるみたいです。この辺りもスムースに話が進むよう、主治医の先生に積極アピールしないとですね。

SPINRAZA カナダで承認!

6月30日付けでカナダでも承認されたようです。The Fast MovementのFBページに出ていました。5q SMAが対象で、それ以外の制限はないとのこと。EUと同じですね。

www.facebook.com

スピンラザ情報まとめ(2017年6月20日時点)

いよいよスピンラザの承認が目前にせまってきたようです。少しまとまった時間が持てたので、公になっていることをベースにスピンラザの情報をまとめてみました。

以下の情報は素人が集めた情報をもとに記載しています。間違い等が含まれる可能性をご留意ください。

どんな薬か

アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)と呼ばれる薬の一種で、この種の薬としては日本では初承認となるようです。

ご存知の通り、SMAの患者さんはSMN1遺伝子に問題があり、正常なSMNタンパク質(全長SMNタンパク質)をSMN1遺伝子から作ることができません。SMNタンパク質は下位運動ニューロンの維持に不可欠で、これが不足すると運動ニューロンが脱落し、SMAの特徴である筋弛緩・筋緊張低下につながります。SMN1遺伝子にはSMN2というバックアップ遺伝子がありますが、SMN2遺伝子はSMN1遺伝子と少しだけ違うため全長SMNタンパク質を少ししか作ることが出来ません。かわりにエクソン7と呼ばれる部分が欠落したSMNタンパク質(Δ7SMNタンパク質)を作るのですが、このΔ7SMNタンパク質は安定性が悪く、体内ですぐに壊れてしまいます。

スピンラザはこのSMN2遺伝子によるタンパク質合成に作用し、SMN2遺伝子から作られる全長SMN遺伝子を増やす効果を持ちます。SMN2遺伝子を2つ持つ方の場合、全長SMN遺伝子は正常なSMN1遺伝子が作る全長SMNタンパク質に比較して、10%+10%=20%程度の全長SMNタンパク質を作るそうです。スピンラザによって、この割合は40〜60%くらいまであげられるみたいです。(開発元のIonis社が出したこちらの資料のP.32参照)

Ⅰ型であれば、生後7ヶ月以内の患児で治験を行った結果としては効果ありと判断されているようです。それより月齢・年齢の進んでいる患児・患者さんについては、治験実績はないため、効果はこれからわかってくるのかと思います。アメリカですでに投与しているお子さんの動画を見る限りは、Ⅰ型については現状維持プラスアルファくらいに考えていたほうが、効果がなかった時のガッカリ感が少ないかな、という感じです。

海外での承認状況

アメリカでは2016年9月に申請され、2016年12月に承認されました。アメリカでの承認は型に関する制限は一切ありません。
EUでは、2016年10月に申請され、2017年6月に承認されました。EUでは5q SMAを対象として承認が出ていますが、5qというのはSMN1遺伝子の存在している染色体の位置を指すので、ほぼ制限のない承認と言えます。

日本での承認見込み

日本では希少疾病による優先審査品目に指定されたうえで、2016年12月に申請されました。直近では、2017年6月9日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で承認了承されるところまで来ています。今後は6月29日に薬事分科会にて承認了承の報告がなされ、それから程なくして正式な承認になると思います。(毎年同じようなスケジュールで審査・承認しているっぽく、だいたいこんな感じのタイムラインになるみたいです。)

医薬品関係のニュースサイト等の情報によると、今回の承認はⅠ型のみが対象になり、Ⅱ型・Ⅲ型については継続審査中とのことです。Ⅱ型・Ⅲ型の審査についても優先審査の対象になっているようなので、早期の承認に期待です。

いつから使えるのか

Ⅰ型については、仮に7月頭に承認が出たとすると、たぶん9月頭には薬価が決まり、あまり間をおかずに発売になるのかなと思います。(この辺も昨年等に承認されている薬のスケジュールをもとにした推測です。)そこから実際に病院で投与してもらうようになるまでにどれくらいかかるかは、正直よくわかりません。アメリカでは(理由はよくわかりませんが)医療機関がスピンラザの採用に二の足を踏むケースもあるようなので、日本でもどうなるのか若干心配です。

また、大きな病院だと薬の導入にあたって審査があるらしく、もしかしたらそこでもリードタイムが発生するかもしれません。でもそこはぜひ、リードタイムなく薬を出していただけるようにしてもらいたいですね。

薬価について

SMAは難病や小児特定疾病に指定されているので、患者側の負担は抑えられるはずですが、薬価自体はかなり高額になるのではと思っています。厚生労働省が出している薬価算出に関する資料によると、類似薬のないものは外国の価格を参考にした補正が入るそうです。その補正に関する資料を読む限り、EUでの価格に近しい値になる傾向があるように見えました。EUの薬価が出てきたら、それがある程度参考になるかもしれません。

6月9日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会

6月9日(金)に行われた薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会でスピンラザの承認可否が審議されているはずなので、医薬品関連のニュースサイトに結果が出ないかなと思っていたら、夜になって出てきました。

nk.jiho.jp

有料記事なので残念ながら詳細は確認できませんが、記事タイトルから判断するに、無事に承認了承の判断が出たみたいですね。
通常のタイムラインであれば、このあと1ヶ月くらいで承認となるようです。

ただ、今回の情報は、あくまでもニュースサイトの情報なので、確報としては1ヶ月後の承認の発表を待つべきかと思います。