かずくん日記

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子との生活や介護の記録をつづっていこうと思います。

Rocheがolesoximeの開発を断念

Rocheがolesoximeの開発を断念するとのこと。olesoximeはneuro-protective compoundの一種とのことで、日本語に訳すと神経保護効果の見込まれる分子、という感じでしょうか。直近の治験の分析結果でむしろ運動機能を低下させる結果が出たとのことです。

http://www.sma-europe.eu/wp-content/uploads/2018/05/Olesoxime-PG-update-May-2018.pdf

olesoximeはRocheが持っていたパイプラインの一つで、他にもRocheはRG7916も開発しています。もともとRG7916のほうが有望そうな感じでしたが、olesoximeはRG7916やスピンラザ、AVXS-101のような全長SMNタンパク質を増やす系の薬とは別の機能を持っていたようなので、もし実際に効果があって承認されたらスピンラザ等と併用することによって相加的な効果が見込まれるんじゃないかなと思っていました。なので、開発中止は少し残念です。

NovartisによるAveXis買収が完了

NovartisによるAveXisの買収が完了したようです。完全に吸収されるのではなく、子会社として残るようです。開発自体はAveXis自体で継続し、各国での申請やその後発売はNovartisとして進めるのかもしれませんね。

Novartis successfully completes acquisition of AveXis, Inc. | Novartis

NovartisがAveXisを買収

AveXisはベンチャーなので、グローバルでの治験・承認取得・発売に向けてはどこか大手と手を組むのではと思っていましたが、やはり来ました。Novartisに買収されることで両社間で合意したとのことです。2018年中頃をめどに買収完了を目指すみたいです。

www.reuters.com

AveXisもプレスリリースを出してます。日本での治験・承認取得に向けて弾みがつくといいですね。

AVXS-101の治験情報

CureSMA上で、AVXS-101の治験に関する情報が出ていました。

Cure SMA | AveXis Releases Community Statement on Expanded Clinical Trials

時間がなくてあまりきちんと読めていませんが、STR1VE、STRONGという治験がUSで走っていて、さらに今後追加される治験として、STR1VE EU、SPRINT、REACHがあがっていました。このうち、STR1VE EUはその名の通りEUでの実施を予定し、REACHについては複数の国で治験を実施する予定のようです。

REACHにはもしかしたら日本も含まれてくるかもしれませんね。1・2・3型を対象とし、2018年後半か2019年の早いタイミングでのスタートを検討しているようです。

海外でのスピンラザ情報まとめ

2017年は、ヌシネルセン/スピンラザの期待と不安が一番印象に残った一年でした。うちの場合はまだ投薬がスタートしたばかりだし、年齢が進んだ1型の子での投薬はこれから知見がたまってくる部分だと思うので、どれだけ効果があるか見極めるのは、2018年が終わるまで持ち越しかなと思っています。

年末年始に少し時間が取れたので、海外でのスピンラザの状況をわかる範囲で調べてみました。いずれの情報も出典やリンク先を明記してない場合は、SNSで得た情報になりますので、かならずしも確実な情報ではないかもしれません。参考程度に捉えてください。

まず、去年の12月に承認された米国については、2型・3型を中心に成人の方も含めて投薬がある程度進んでいるようです。ただ、利用している医療保険や病院によっては断られるケースがいまだにあるようです。

EUについては日本と同じようなタイミングで承認されていますが、保険償還の手続きが完了して全ての型で利用可能になっているのは、ドイツ・イタリア・オーストリアルクセンブルクのみだそうです。フランスは暫定的な措置で利用可能になっているとのこと。それとEUではありませんが、スイスについては20歳までの患者であれば保健を使って投薬できるようになっているようです。他の国、たとえばイギリスについては、まだ保険償還の手続きが終わってないか、もしくは一部の型のみを対象に保険償還が決まったようです。BiogenがイギリスのSMAコミュニティ向けに、11月14日付で情報を出していました。
www.smasupportuk.org.uk

別に投稿している通り、オーストラリアでは承認は通ったけど、保険償還でつまずいているようですし、カナダは生後7ヶ月かつ呼吸器管理していない条件(治験と同じ条件)で承認が出たようです。

イスラエルでは、全型・全年齢で承認が出たとの情報がありましたが、ヘブライ語の情報が多く(読めないので)確認はできませんでした。

ブラジルでも承認されているようですが、詳細はわかりませんでした。


スピンラザ以外にも、Avexis社のAVXS-101やRoche社のRG7916の治験が進んでいるみたいですね。作用の仕方は違うみたいですが、いずれもスピンラザと同じように全長SMNタンパク質の生成を増やす効果がある薬のようです。ということで、スピンラザで効果があるかどうかが、今後出てくる薬の効果を占う上でも重要になってくる気がします。

[2018年1月10日23時 追記] お隣りの韓国でも承認されたようです!
m.koreabiomed.com

ヌシネルセンのカナダでの状況

オーストラリアに続き、カナダからも残念なニュースが入ってきました。

CADTHというおそらくカナダ国内の薬の審査機関だと思うのですが、そこがヌシネルセンの審査結果を公表していました。

https://www.cadth.ca/sites/default/files/cdr/complete/SR0525_Spinraza_complete_Dec_22_17.pdf

結果は、承認ということになるのでしょうが、範囲がとても限られた承認になっているようです。1型を対象にした治験での条件とほぼ同じ条件になっています。細かな条件はありますが、大枠で言うと生後7ヶ月以内で永続的に呼吸管理していない患児のみに対して承認が出ているようです。

どうやらカナダも、オーストラリアと同様に、費用対効果も審査の際に考慮しているみたいです。カナダの場合、Quality-Adjusted Life-Year(QALY - 質調整生存年)が薬によってどれだけ獲得できるかをもって費用対効果を見ているようです。QALYは健康な人の1年を表す単位です。たとえば、病気等で年間0.3QALYしかない人が、薬を服用することによって、年間0.2QALY獲得し、かつ5年間生存できれば、0.2×5=1QALYとなり、薬によって健康な人の1年分だけ生存年を増やせたことになります。QALYで費用対効果を測る場合、薬によって1QALY獲得するためにどれだけの費用がかかるかを見るようです。で、カナダでは、ヌシネルセンを利用した場合に1QALY獲得するための費用が高すぎると考えているようです。仮に薬価を95%下げても、まだ高いと書いてあります。

承認がとても限られた範囲になったのは、費用対効果が悪いという判断を踏まえて、治験の結果から確実に効果が出るとわかっている条件に絞ったということなのかもしれません。

正直、SMAのように重篤な病気に対して、健康な人の1年間という尺度を用いて費用対効果を測ることに、ものすごく違和感を感じてしまいます。これが通ってしまったら、SMAだけではなく大半の筋疾患の薬について承認が通らなくなってしまうのではないでしょうか。患者や家族は、少しでも効果のある薬をそれこそ一日千秋の思いで待っていると思うんです。

オーストラリアでのヌシネルセンの状況

オーストラリアで、ヌシネルセンの承認がうまく進んでないみたいです。
ちょっと調べた感じでは、オーストラリアではTGAとPBACという2つのプロセスを経ないといけないらしく、TGAは承認を通ったみたいですが、後者のPBACがうまく行ってないみたいです。PBACは保険償還に関する審査らしく、日本で言うところの薬価収載・保険適用で足踏みしているっぽいです。つまり薬は使えるようになるけど、保険で費用がまかなえないということみたいです。

PBACは費用対効果という観点でも審査するらしく、どうもそこで引っかかったようです。

こちらは、オーストラリアのSMAコミュニティが出しているニュースです。

PBACが出してる資料で見る限り、1st time decision(初回の判断)としてはということみたいなので、さらに治験の情報がたまってきてりしたら、今後話が変わってくるのかもしれません。また、費用対効果の部分でつまずいていることもあり、薬価を引き下げるというオプションもあるみたいです。

いずれにせよ、オーストラリアでも早く薬を使えるようになって欲しいところです。

※短時間で調べて書いた内容なので、間違いや不正確な情報が含まれているかもしれません。間違いを見つけたら、随時アップデートしておきます。