かずくん日記

脊髄性筋萎縮症(SMA)1型の息子との生活や介護の記録をつづっていこうと思います。

再生医療の話

NHKのニュースによると、iPSを使って脊髄損傷の機能回復を目指す臨床研究の話があるそうです。
www3.nhk.or.jp

どいう治療になるのかなと思っていろいろ検索してみたら、↓のサイトに詳しく載っていました。
academist-cf.com

このサイトによると、再生する細胞にはニューロンも含まれるそうです。SMAで影響を受ける神経細胞は下位運動ニューロンですが、下位運動ニューロンも再生の対象になってくるのかはよくわかりませんでした。スピンラザ(一般名ヌシネルセン)を初めとして、いま開発の進んでいる薬のほとんどは、正常なSMNタンパク質の量を増やすことにフォーカスしているはずです。ここからは素人考えですが、こういった薬で仮に正常なSMNタンパク質の量が増えたとしても、脱落してしまった下位運動ニューロンが再生できなければ、効果は期待できないんじゃないかと疑っています。そうなると、あとは再生医療しかないのかなあ、と思っていたところだったので、このニュースはけっこう気になりました。

再生医療は遠い未来の技術だと思っていたのですが、着実に研究が進んでいるんですね。今後は再生医療についてもアンテナを貼っておこうと思います。

Spinal Muscular Atrophy - Disease Mechanisms and Therapy: Chapter 6

以前公開していた記事にいくつか間違いをみつけたので、全体的に見直して再投稿しました。

今回は Chapter 6: The Function of Survival Motor Neuron Complex and Its Role in Spinal Muscular Atrophy Pathogenesis です。この章はかなり手こずりました。Wikipedia記事こちらの論文もつまみ読みして、おぼろげながら理解したことを読書メモ代わりに書きます。

/* 例によって私の個人的な理解をもとに記述しています。間違いを指摘していただける方がいらっしゃると大変助かります。 */

SMN遺伝子から作られるSMNタンパク質は、他のいくつかのタンパク質と結合して、より大きな複合体「SMN complex」を作るそうです。SMN copmlexは体内でsnRNP(small nuclear ribonucleo proteins:低分子リボ核タンパク質)の生成に深く関係していて、このsnRNPというのは、遺伝子からタンパク質を作る際に行われるスプライシングで必要になる物質だそうです。ここがちょっとややこしいのですが、スプライシングと言うと、SMN遺伝子からSMNタンパク質が合成される話でも出てきました。その時は、SMN2遺伝子から転写によってできたpre-mRNAが、スプライシングによってmRNAに切り詰められる際に、エクソン7がスキップされてしまうというものでした(つまり、SMAはスプライシングに2つの意味で関わっているということなのですが、このことが最初まったく理解できず、読んでいてとても混乱しました)。SMN1の欠損によってSMN遺伝子が不足すると、snRNPの生成が滞って全てのタンパク質の合成で支障が出るんじゃないの?と思っちゃいます。でも、そうなると運動ニューロンどころの騒ぎではありません。実際には影響が出るの(ほぼ)運動ニューロンだけのようなので、どうもそうではないようです。

SMNタンパク質はsnRNP以外のRNP(リボ核タンパク質)の合成にも関係しているらしく、この章の筆者によると、これがSMA発症の原因じゃないかと思われているみたいです。また、こちらの論文では、脊髄中で、運動ニューロンだけ選択的にエクソン7の欠落が多く発生するとの報告があり、これも原因の一つなのかもしれません。さらに、ちょうど最近でたニュース記事↓によると、SMNタンパク質は細胞内で特定の物質を運ぶ役目も持っているらしく、これが原因じゃないかとの話もあるようです。
smanewstoday.com
この記事によると、下位運動ニューロンは筋肉に信号を伝えるために軸索を長く伸ばしており、SMNタンパク質が不足していると、軸索の先端まで必要な物質を届けることができなくなり、それによってニューロンが死んでしまうとのこと。

これだけいろいろな話が出てくるということは、SMNタンパク質の不足によってSMAが発症する理由は、まだきちんと解明されてないということなのかもしれません。

新薬の開発状況(スピンラザ以外)

SMAコミュニティ内ではすっかりスピンラザのニュースで持ち切りですが、それ以外の新薬候補も徐々に話が進んでいるみたいです。

Roche RG7916

Rocheが出したCommunity Updateによると、EUでPhase 2の治験の参加者を募集しているようです。Ⅰ型を対象にしたFirefishと、Ⅱ・Ⅲ型を対象にしたSunfishがあります。この2つの治験については、2017年中に実施国を増やすとのこと。日本でもやるのかどうかは不明です。ClinicalTrials.govの情報を見る限り、日本での実施についてはあんまり期待しないほうが良いかもです。

この2つ以外にも、Jewelfishという名前の治験も2017年の早い段階でUSとEUで参加者を募集するそうです。Jewelfishは、SMN2遺伝子をターゲットにした薬(ヌシネルセン/スピンラザを含む)の使用歴がある患者を対象にするそうです。

RG7916はSMN2遺伝子のスプライシングに作用する薬だそうです。ヌシネルセン/スピンラザと同じですね。でも、RG7916は経口薬みたいなので、ヌシネルセン/スピンラザと比べると患者の負担を大幅に減らすことが出来そうです。しっかり効果が出るといいですね。

Avexis AVXS-101

Avexisのプレスリリースによると、EUでPivotal Studyという治験を実施するそうです。これがどのPhaseに該当するのかはプレスリリースからは読み取れませんでした。プラセボ群はおかずに、自然経過による症状の変化と比較する形で治験を行うそうです。プラセボ群については、ヌシネルセン/スピンラザのときに倫理的な問題も出たようなので、いい方向に話が進んでいるようですね。

また、AVXS-101はEUでPRIME Programの許可を得たとのことで、薬の開発にあたってEMAから何かしらの優遇を受けられるみたいです。


AVXS-101については、相変わらず日本での動きはないみたいです。Rocheはグループ会社の中外製薬が日本にあるから、そのうち日本でも治験の話が出てくるのかなあと思っていますが、Avexisはあいかわらず日本での事業拠点はないように見えます。どうなることやら。

そういえばスピンラザについては、Facebookでspinrazaと検索すると、これから投薬するといった投稿や、保険会社からOKが出たとう投稿がちらほらヒットします。個人的には、発症からしばらく経ってから投薬した場合の効果がものすごく気になってますが、まだしばらくはそういう情報は出てこないだろうなあ。

パルスオキシメーター用の入れ物 ふたたび

昨日完成させたパルスオキシメーターの入れ物、あまりにもひどい仕上がりなので、思い切って、今日一日かけてはじめから作り直してみました。
かずくんが寝ている間と、訪看さん/ヘルパーさんがいる間に黙々と作業し、無事に夕方前には完成しました。

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こんどは、納得できるくらいの仕上がりになりました。熱がこもりそうなのが少し心配だけど、1〜2ヶ月でお役御免になる予定なので、大丈夫でしょう。明日の散歩でさっそく使ってみます。

パルスオキシメーター用の入れ物を作ってみました

酸素の業者さんからお借りしているマシモのパルスオキシメーター、とにかくでかい。移動中に置き場所に困るので、ミシンを使って入れ物を自作してみました。パパ初裁縫でしたが、見た目は悪いですがなんとか完成しました。

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と、ここまでは良かったのですが、完成直後に訪看さんから一言。「これ大きいですね、同じ病気の○○市(別の市)のお子さんで、小さいパルスオキシメーターを給付で買っている人がいましたよ。」

○○市は裕福だからなーと思いつつ、市役所からもらった障害福祉のパンフレットをひっぱり出してきて、日常生活用具の給付一覧を見てみました。そしたら、うちの市でもパルスオキシメーターの給付あるし・・・。市役所に電話して聞いてみたら、(給付にあたって)特に問題はないですよとのこと。ということで、小型のパルスオキシメーターを調達する方向で動くことになりました。せっかく作ったケースは短い命になりそうです(T_T)

そういえば、人工鼻苦手問題は、検査入院後になぜか自然解消しました。病院の環境より人工鼻のほうがまだマシって思うようになったのかな?

検査入院中の痰詰まりに関する考察

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今週は初めての検査入院(しかも初めての病院)でしたが、こちらにも書いた通り、入院中はとにかく痰が固くなって大変でした。最初は、温度・湿度の変化によるものだと考えていましたが、湿度計を持ち込んだところ、たしかに深夜はカラッカラになりますが、そんなに家と変わらないことがわかりました。看護師さんとは、体を動かす時間が減ったからかしらね〜という話もしましたが、家で体を動かさない日があっても、そこまで痰が固くなることはありませんでした。

ということもあり、回路上で唯一の変更点である加湿器のチャンバーを疑うことになりました。普段は写真にあるような手動給水式を使っています。入院中は、病院で使用しているものを使いますと言われ、自動給水式のものに変更しました。

ぱっと見てわかる両者の違いは、2つ。

  1. 手動給水式は内部に500ccの水を溜められるのに対して、入院中に使用した自動給水式は中に溜まっている水の量が圧倒的に少ない。水の高さで言うと、前者は最大で6cm貯まるのに対して、後者は5mmから1cm程度。
  2. 入院中に使用した自動給水式は、チャンバーの中に巨大なフロートが入ってる。

最初は1つめの違いが原因かなぁと思っていました。水(お湯)の量が多いと、それだけ保持する熱量も多くなるので、回路全体の保温効果が高まるのではないかと。実際、チャンバーから延びている回路を触ってみると、家で使っている手動給水式の時は暖みをほんのり感じるのに対して、病院で使用していた自動給水式の時は室温とほぼ同じでした。でも、もう少し調べた結果、どうも2つめの違いもそれなりに寄与してるんじゃないかと思うようになりました。

チャンバー内の水から蒸発する水分量を考えてみます。実際にはチャンバー内の構造や空気の流れを考える必要がありますが、ものすごーく単純化して考えると、蒸発する水分量は、水面の表面積に比例するはずです。となると、自動給水式はチャンバー内でそれなりの面積をフロートが占めているため、水面の表面積が少なくっているはずです。チャンバーの直径はだいたい9cmなので、フロートの直径が仮にその1/3の3cmだとすると、表面積は89%に減ります。そうすると、蒸発する水分量も89%になってしまいます。また、フロート(実際には、メインとバックアップの2つのフロートが入っている)の存在によって、空気の流れもより複雑になっているはずで、これも蒸発する水分量に影響するはずです。

結局この2つの違いが相乗的に影響して、十分な加湿ができない状態になっていたのではないかと疑っています。

自動給水式チャンバーを使える機会があったら、同じ環境の下で、ふだん使っているものとあらためて比較してみようと思います。

スピンラザ:USで保険会社が範囲を狭めて保険適用

/* 本記事の内容は、日本はまったく関係ありません。米国での話です。 */

Facebook上でのThe Fast Movementの投稿によると、USではAnthem Insuranceという保険会社が、スピンラザの保険適用をⅠ型のみに限定しているそうです。

Xconomyというサイトにも記事が出てました。

www.xconomy.com

この記事によると、なんとⅠ型でも大きな改善(significant improvement)が見られない限り、保険金を支払わないとも言っているそうです。また、対象をⅠ型に限定する件については、治験がⅠ型を対象にしたものであることを理由にしているとのこと。FDAが全型を対象に承認しているにも関わらずです。

これはおそらく、薬価が高すぎるのも一因になっているんだと思います。USのSMAコミュニティとしては、Anthem社に強く抗議を入れるみたいです。